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事実婚の現実――選択的夫婦別姓  

事実婚の現実――選択的夫婦別姓 

日本では、結婚すると夫婦のどちらかが姓を変えることが民法で定められています。しかし、この制度に疑問を抱き、結婚後もそれぞれの姓を維持したいという理由から「事実婚」を選ぶカップルが増えてきました。事実婚は、法的な婚姻手続きを行わないため、姓を変える必要がなく自由度が高い一方で、多くの課題を抱えていることも事実です。選択的夫婦別姓を求める声が強まる中、これが今年の衆議院選挙の争点の一つにもなっています。

まず、事実婚の大きな問題の一つは、法律上の婚姻をしていないために生活の中で様々な不便を感じる点です。例えば、住宅ローンを組む際、事実婚では法律婚に比べて対応する金融機関が限られる場合があります。さらに、事実婚の場合、子供が生まれた際に夫婦が共同で親権を持つことができず、片方の親が単独で親権を持つ形になります。これは、夫婦で協力して子育てをする中で、不公平感を感じたり、将来的に子供に不利益をもたらす可能性もあります。

また、日本では夫婦で姓が異なることに対して、「家族の絆が弱まる」という意見も根強くあります。このため、選択的夫婦別姓制度の導入に対しては、賛否両論があり、議論が続いています。国連の女性差別撤廃委員会では、日本でも夫婦が別々の姓を選べるようにすべきという意見が出されていますが、日本政府は「国民の意見が分かれている」「旧姓を通称として使用できる」との従来の立場を維持しています。

衆議院選挙において、この選択的夫婦別姓制度の導入に賛成する政党は、公明党立憲民主党共産党、れいわ新選組、国民民主党社民党です。特に、立憲民主党は「早期に実現する」としています。一方、自民党日本維新の会は慎重な立場をとっており、選択的夫婦別姓を導入すべきかどうかについては消極的です。自民党内では「家族内で姓が異なると一体感が損なわれる」「子供の姓をどうするかで夫婦間に混乱が生じる」といった懸念が示されています。

こうした慎重な姿勢の背景には、保守派の強い反対意見があります。特に自民党内の保守層は、伝統的な家族観を重視し、姓を統一することが家族の絆を保つ重要な要素であると考えています。このため、選挙でも保守層の支持を得るために、自民党は選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な態度を示しているとされています。

選択的夫婦別姓に代わる案として、自民党日本維新の会が提案しているのが、旧姓の通称使用の拡大です。現在でも、運転免許証やパスポートに旧姓を併記することは可能ですが、あくまで「併記」に過ぎず、旧姓のみを自由に使用することはできません。また、旧姓の使用には手続きが必要であり、一部の金融機関では旧姓での口座開設が認められていないなど、通称使用にも限界があるとの指摘もあります。

経団連は今年6月に、選択的夫婦別姓制度の早期導入を政府に提言しており、旧姓を通称として使うことについて「海外では理解されにくく、ダブルネームが不正を疑われることもある」と懸念を表明しています。このように、通称使用の拡大では十分な解決策とは言えない現状が続いています。

選択的夫婦別姓制度は、夫婦がそれぞれの姓を維持しながら法律婚を選択できる制度であり、多様な価値観を尊重する社会において重要な課題です。事実婚を選ぶカップルにとって、選択的夫婦別姓が導入されることで、より生活の選択肢が広がり、法的な不便さが解消されることが期待されています。選挙を通じて、この問題がどのように進展していくのか、今後の動向に注目が集まっています。