タカラジェンヌの「容姿端麗」基準撤廃、入学後の試練に?ファンの支持は得られるか
兵庫県宝塚市にある宝塚音楽学校は、来年4月入学の第113期生の募集要項から「容姿端麗」という条件を外しました。宝塚音楽学校は、「時代や環境の変化を踏まえ、よりふさわしい基準となるように検討した結果」としていますが、この決断は宝塚ファンに大きな議論を巻き起こしています。伝統ある宝塚歌劇団で、タカラジェンヌたちは「美しさ」と「実力」で輝く存在とされてきましたが、容姿の基準を外したことによる変化が注目されています。
変わりゆく応募基準、なぜ「容姿端麗」を外したのか?
宝塚音楽学校では、例年15〜18歳の女子約40人を募集しており、今年の倍率は12倍と過去20年以上で最も低い水準となりました。また、昨年は劇団員の死亡事件もあり、イメージダウンも影響したとされています。宝塚音楽学校の入学資格には「容姿端麗で、卒業後宝塚歌劇団の舞台人として適する方」という記載がありましたが、来年度からは「心身ともに健康で、卒業後宝塚歌劇団生として舞台人に適する方」に変更されました。
宝塚の伝統はもちろん重要視されているものの、時代の流れや多様性への配慮から、内面的な資質を重視する方向に向かっているのかもしれません。演劇評論家の石井啓夫氏(81)は、「今の時代、世界的に見ても採用基準から『容姿端麗』を外すのは自然なこと」と肯定的に評価しています。
美しさも求められるスター像、ファンの反応は?
一方、長年宝塚を応援してきたファンの間では異論も出ています。東京都内のパートをしている60年来の宝塚ファン(75)は、「宝塚はやはり美しいスターあってこそ」と話し、容姿も舞台に立つ上で欠かせない要素であると考えています。華やかで美しいタカラジェンヌを目指す少女たちにとって、容姿の基準がなくなることで、宝塚の魅力が損なわれるのではないかという声も少なくありません。
ファンにとっての宝塚歌劇団は、美しいスターが舞台上で輝くことが大きな魅力の一つです。もしも新しい基準で入学したタカラジェンヌが、舞台上で「スター性」や「美しさ」を感じさせない場合、ファンの支持が得られない可能性もあります。「美しく華やかなタカラジェンヌ」は長年にわたってファンの心を掴んできたため、新たな基準による「タカラジェンヌ像」がファンの支持を得られるかどうかは不透明です。
今後の宝塚はどう変わるのか?
「容姿端麗」という基準を撤廃した宝塚音楽学校は、どのようなタカラジェンヌを育成し、舞台に送り出していくのでしょうか。ファンに愛され、観客の心を動かすためには、見た目の美しさだけでなく、舞台で輝く個性や演技力も不可欠です。容姿の基準を緩和したからといって、タカラジェンヌの「美しさ」への期待がなくなるわけではありません。むしろ、個性や内面の美しさを引き出す新しい時代の宝塚がどのように受け入れられていくか、注目されるところです。