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本当に熱海はV字回復? 数字の裏に隠れた現実と地元の複雑な心境

本当に熱海はV字回復? 数字の裏に隠れた現実と地元の複雑な心境

一度は衰退した熱海が再び注目を集め、観光地としての人気が復活していると言われています。今年5月には、昨年度の宿泊者数が約297万人に達し、コロナ前の約9割まで回復したと市が発表しました。しかし、「9割回復」という華やかな数字の背後には、実際には長年続く宿泊者数の減少という現実が隠れています。コロナ以前からの衰退が加速し、かつての賑わいには程遠い状況にあります。

熱海市内を走るタクシードライバーは、「昼間の賑わいがまるで嘘のように、夜の街はゴーストタウンと化している」と苦々しく語ります。観光客の中心は大学生から20代前半の若者たちで、昼間はご当地スイーツを求めて商店街を賑わせても、夜になるとコンビニで買ったお酒を持ち帰り、宿泊先で過ごすのが定番です。そのため、夜間の街の賑わいが減少し、タクシー業界や夜の飲食店はかつてない厳しい現状に直面しています。

記者が訪れた平和通り商店街も、午後6時を過ぎると次々と店の明かりが消え、人気のないシャッター街へと変わり果てていました。日中の賑わいからは想像もつかない光景です。飲食店のオーナーたちも、「客が来ないなら店を閉めるしかない」と嘆き、地元のバーでは常連客が集うものの、新規の観光客はほとんど見かけません。

また、若者に人気の「熱海プリン」や新しいスイーツ店の出店が目立つ一方、昔ながらの和菓子店は影を潜めています。「昭和レトロな雰囲気が売りの新しい店が注目されるのは嬉しいが、古くからの地元の味も忘れ去られている」と、地元のスイーツ店オーナーは複雑な心境を吐露します。熱海の魅力は本来、温泉や老舗の和菓子店、落ち着いた温泉街の風情にありました。しかし、今では新しい流行に押され、その本質が見失われつつあります。

「9割回復」という数字だけを見れば、熱海はV字回復を遂げたように見えますが、地元の住民たちの声は「本当に復活したのか?」と疑問を投げかけています。観光客の消費行動が大きく変わる中で、熱海の真の魅力を再評価し、地域全体で活気を取り戻すための新たな取り組みが必要です。数字の裏にある現実を直視し、地元の声に耳を傾けることで、本当の意味での回復を目指していくべき時期に来ているのかもしれません。