2025年5月4日(日本時間5日)、米ラスベガスのT-モバイルアリーナで行われた世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチにおいて、王者・井上尚弥選手が挑戦者ラモン・カルデナス選手に8回TKO勝利を収めました。この試合の決着となった8回のレフェリーストップについて、ボクシング界では賛否両論が巻き起こっています。本記事では、このレフェリーの判断が試合に与えた影響と、その背景にあるボクシングの審判の役割について解説いたします。
8回TKOの経緯とレフェリーの判断
試合序盤、井上選手は2回にカルデナス選手の左フックを受けてダウンを喫しましたが、そこから立て直し、7回には右ショートでダウンを奪い返しました。8回には猛ラッシュを仕掛け、カルデナス選手を防戦一方に追い込みました。この状況を見たレフェリーは、選手の安全を考慮し、試合をストップしました。この判断により、井上選手は世界戦通算23KOという新記録を樹立しました 。
フルトン選手の異論と議論の背景
このレフェリーストップに対し、元世界スーパーバンタム級2団体統一王者のスティーブン・フルトン選手は、自身のSNSで「ストップは予想できたが、ちょっと早すぎた」と指摘しました。彼は以前、井上選手と対戦経験があり、その実力を認めつつも、今回の試合終了のタイミングには疑問を呈しました。また、カルデナス選手自身も試合終了直後に不満げな表情を見せ、「まだやれる」との意思を示していました。
レフェリーの役割と判断基準
ボクシングにおいて、レフェリーは選手の安全を最優先に考え、試合の進行を管理する重要な役割を担っています。特に、選手がダメージを受け続けている場合や、防御が不十分な状態が続く場合には、選手の健康を守るために試合を止める判断が求められます。今回の試合では、カルデナス選手が7回にダウンを奪われ、8回には井上選手の連打を受けて防戦一方となっていたことから、レフェリーの判断は選手の安全を考慮した適切なものであったと評価されています。
過去の類似事例とレフェリーの判断
過去にも、レフェリーの判断が議論を呼んだ試合があります。例えば、2019年の井上尚弥選手とノニト・ドネア選手の試合では、11回に井上選手がドネア選手からダウンを奪った際、レフェリーが間に入り、追撃を阻止したことで、KOのチャンスを逃したとの声が上がりました 。
このように、レフェリーの判断は試合の結果に大きな影響を与えるため、常に慎重な判断が求められます。
まとめ
今回の井上尚弥選手とラモン・カルデナス選手の試合における8回TKOは、レフェリーの迅速な判断によって選手の安全が確保された結果であると考えられます。一方で、観客や関係者の中には、試合の続行を望む声もあり、レフェリーの判断に対する意見は分かれています。ボクシングにおいては、選手の安全を最優先に考えることが重要であり、レフェリーの判断はその責務を果たすためのものであることを理解する必要があります。
今後も、選手の安全と試合の公正性を両立させるために、レフェリーの判断が注目されることでしょう。