増えた手取りが国の中で回った方が良い!?国民民主党・玉木代表の「年収の壁」政策
「年収の壁」を引き上げるメリットとは?
11月5日、国民民主党の玉木雄一郎代表が定例会見で、自党の掲げる「年収の壁」引き上げについて熱弁をふるいました。「年収103万円の壁」とは、年収が103万円を超えると所得税が課され、働く意欲を制限する要因とされている制度です。この制度ができた1995年以降、最低賃金が大きく上がったことから、国民民主党は「壁」を年収178万円まで引き上げるべきだと主張しています。
政府試算によれば、この見直しによって国と地方の税収は約7.6兆円減少すると予測されており、一部メディアでは「高所得者ほど恩恵を受ける」などのネガティブな報道がなされている状況です。しかし、玉木氏は「逆に7兆円ほど国民の手取りが増えるということを知っていただけたのは良かった」として、国民の懐を豊かにする意義を強調しました。
国民の手取りが増えることで経済が回る?
玉木氏の主張のポイントは「減税しても消費の活性化に貢献し、結果として経済を回す効果が期待できる」というものです。玉木氏は「国の懐を豊かにするのではなく、国民の懐を豊かにする」と述べ、増えた手取りが国民の日常の消費に回り、経済の底上げにつながるとの考えを示しました。
コロナ禍や物価高が続く中、家計への負担は重くなっています。増えた手取りで日常の生活費や消費に使うことで、経済が循環し、結果的に企業の売上や雇用の安定にも寄与するでしょう。たとえば、家庭の収入が増えた場合、外食産業や小売業など消費が促される分野は恩恵を受けやすく、地域経済も潤うことになります。手取りが増えることで家計にゆとりが生まれ、その分経済活動にポジティブな波及効果が期待されるのです。
国民が感じる恩恵と政策の本質
「控除」という制度について、玉木氏は「普段あまり意識されないが、これを機に多くの人と議論をしたい」と語りました。所得税や控除は複雑で、意識しづらい部分も多いですが、こうした制度が日々の生活に大きな影響を与えているのは事実です。国民が手取りの増加を直接感じられることで、税制や財政のあり方に対する関心が高まることも期待されます。
また、増税や財源確保といった政府の意向と、減税によって個々の生活の質を高めようとする野党の立場の違いが浮き彫りになりました。玉木氏は「財務省のネガティブな試算に反発しているわけではないが、あくまで国民目線の視点で議論を続けたい」とも述べており、衆院選で掲げた「国民の生活向上を第一に」というスローガンにブレない姿勢を示しました。
増えた手取りが日本の未来に与える影響
今回の「年収の壁」引き上げによる国民の手取り増加は、単に一時的な家計の助けだけでなく、長期的には日本の経済力の底上げにつながる可能性も秘めています。増えた手取りが消費を促し、結果として税収が上向くようなサイクルが構築されれば、日本経済の活性化に資するでしょう。
日本の未来を考える上で、「国の財源確保」か「国民の懐を豊かにする」か、どちらが望ましいのかは難しい選択です。しかし、玉木氏の主張のように、増えた手取りが国民の手に渡り、そのお金が国内で循環して経済を支えるという視点は、今後も議論の重要なポイントとなるでしょう。