墓じまいや仏壇じまい、多様化する令和の弔いのカタチ
日本の伝統的な墓参りや葬式のあり方が大きく変わりつつあります。厚生労働省の調査によれば、2022年度には全国で「改葬」が15万1,076件に達し、過去最多となりました。お墓を撤去する「墓じまい」の増加には、「お墓が遠方にある」「継承者がいない」といった背景があり、樹木葬や海洋葬、散骨といった新たな選択肢も広がっています。
東京都内の藤原翔子さんの例では、母親が生前から「子どもたちに迷惑をかけたくない」との思いで、港区の樹木葬を選択しました。家族葬を希望し、仏壇も小型でスタイリッシュなものを選びました。鎌倉新書の調査によれば、購入されたお墓の約48.2%が樹木葬であることからも、その人気の高さが伺えます。
さらに、手元供養として遺骨をアクセサリーにするなど、新しい供養の形が注目されています。実際、調査によると「お葬式はしない」と考える人は全体の24.9%に達しており、葬式の形式を「まだ決めていない」とする人も34.9%に上ります。
こうした変化の背景には、コロナ禍による葬儀の形態の見直しや、気候変動による災害の頻発などが影響しています。時代の流れとともに、人々の死生観や弔いの形はますます多様化し、新たな価値観が生まれています。令和の時代における「弔いのカタチ」は、より個々の価値観を反映したものへと変わりつつあるのです。